JR西日本は、
赤字ローカル線の経営改善に関して、昨年11月に城端線、氷見線の運行本数の削減等を内容とする
経営改善計画を打ち出し、今年3月からの実施を発表いたしたところであります。報道されているところによりますと、この
経営改善計画はおおむね4項目からなっております。
まず第1点目は、城端線、氷見線の運行本数の削減。2点目は、両線の最終列車の運行時刻をそれぞれ1時間程度を繰り上げるというもの。3点目は、月1回、休日の利用の少ない時間帯に列車を運休し集中的に保守作業を行うもの。4点目は、業務委託駅を廃止し無人化にするというものであり、高岡市内では城端線の戸出駅と氷見線の越中中川駅が対象になっております。
また、JR西日本は先月、JR東日本、JR東海とともに今年秋をめどに完全民営化の方針を明らかにしており、これが実現いたしますと、経営の効率化がより一層進むことが予想され、このようなJRの大きな変化を踏まえて、城端線と氷見線についてお尋ねするものであります。
御承知のとおり城端線は明治31年、また氷見線は大正元年に全線開通し、以来 100年以上にわたり富山県西部地域の産業、経済を支える大動脈として、また地域住民の通学、通勤、買い物等の生活の足としてだけでなく、観光客など人々の交流にとっても重要な
基幹公共交通機関として役割を果たしております。このたびの経営改善は輸送サービスの低下と利用客の減少につながり、ひいてはさらなる低合理化策に結びつくのではないかと沿線住民の一人として大いに危惧しております。
既に、去る3月3日から新しいダイヤのもとに運行を開始され、城端線、氷見線への影響も見受けられますが、昨年の計画発表後、市当局は、沿線住民や学校関係者の要望にこたえて、沿線自治体とともにJRへの改善要望を続けてこられたことは私もよく承知をしております。
そこで第1点目の質問でありますが、今回の
経営改善計画のうち、地域に与える影響ということは駅の無人化が最たるものと考え、戸出駅は開業以来地域の産業、文化の振興に大きな寄与をしてきた戸出の
シンボル的存在であり、高岡南高校や高岡法科大学、オフィスパーク、工業団地等の立地する
戸出中田地区の極めて重要な公共交通の拠点施設でもあります。また、越中中川駅は1日の乗車人員が 1,400人にも上り、周辺に高岡高校など5つの高校のほか市美術館、
高岡文化ホール、市役所、古城公園等のある本市の重要な文化ゾーンの中心にあって、観光面からも重要な駅でもあります。このような歴史ある戸出駅並びに越中中川駅の無人化の防止に関し、両駅の駅員など要員の配置継続について市としてはどのように対応していくのかお伺いいたします。
次に、駅の無人化対策とあわせて大事なことは、その駅を利用して住民がJR城端線、氷見線をいかに利用するかであります。その点では、市はどのような利用促進策を検討されているのかお伺いいたします。
3点目は、
モータリゼーションの進展に加え少子化が一層進行する中、JR西日本の完全民営化はJRの各線にとどまらず、路面電車や路線バスなど
地域公共交通機関にも影響を及ぼすことが予想され、富山県は新年度の機構改革で現在の
新幹線交通政策課を新幹線建設と地域交通を分けて適切な対応を図る方針を打ち出しております。本市の交通政策について、今後どのような組織的対応を考えておられるかお伺いをいたします。
次に、本市観光の振興について伺います。
御承知のとおりに平成14年にNHKの大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語~」が放送されることが決定しており、これは大河ドラマの通算41作目に当たり、激動の戦国時代を生き抜き、加賀百万石の礎を築いた
加賀藩藩祖前田利家と妻まつ夫婦の波瀾万丈の物語を尾張、北陸を主な舞台に描いたものであり、この放送に高岡市民も大いに関心を寄せているところであります。
今さら申すまでもなく、高岡は、利家の子、加賀藩二代藩主利長により開かれ、慶長14年には利長は高山右近に設計を依頼し、隠居城として高岡城を築いております。利長の死後、高岡城は幕府の一国一城の令により廃城となりましたが、三代藩主利常は城の実質的保存を図り、濠や土塁のほとんどを原型のまま残し、明治以来公園として開放され、らんまんと咲き誇る春の桜をはじめ四季それぞれに鮮やかな自然美を呈する心和む憩いの場として市民に親しまれております。また、利常は、利長の菩提を弔うため高岡瑞龍寺を建立しておりますが、平成9年12月には山門、仏殿、法堂が国宝に指定され、本市が全国に誇る名刹となっております。
このように、本市は
加賀藩前田家とはまことにゆかりの深い地でもあり、以上のことから、大河ドラマ「利家とまつ」の放送を機会に本市観光を全国に発信し、観光客の入り込み数の増大を図るなど、これまで以上に本市観光の振興に努めなければならないと思うのであります。
そこで、まず第1点目として、
大河ドラマ放送にあわせた
観光PR作戦の展開について伺います。
過日、この大河ドラマの
制作プロデューサーをはじめとする制作スタッフが、本市雨晴海岸から雪をいただく立山連峰を撮影するために本市へ訪れられたことが報道されました。当日はあいにく天候の都合により撮影ができず、後日、再度来高するとのことであります。ドラマのどのようなシーンに使われるのか今から期待するところであります。また、大河ドラマの終わりの部分は毎回ドラマの進行に応じてゆかりの地が紹介されておりますが、ドラマの場面のみならずこの紹介部分におきましても瑞龍寺をはじめとする本市の多くの観光名所が放送されることを念願するものであります。
私は、本市としても大河ドラマの放送にあわせ観光PRに努めるとともに、各種事業の展開によりもてなしの心の醸成を図らなければならないと思います。佐藤市長におかれましても、御同様のお考えと推察いたします。
さて、今定例会に提出されております新年度予算には、前田利長・利常の
まちづくりフォーラム開催事業費が計上されておりますが、まことに時宜を得たものであり、一定の評価をするものであります。
そこで、この事業の趣旨と他にどのような
観光PR作戦の展開を考えておられるのかお伺いをいたします。
次に、大河ドラマ「利家とまつ」の放送にあわせた
観光イベントの実施についてお伺いいたします。
本市は、毎年、
日本海高岡なべ祭り、高岡御車山祭、高岡七夕まつり、野外音楽劇「越中万葉夢幻譚」、
高岡万葉まつりをはじめとする各種祭り、イベントが開催されておりますが、中でも5月1日に催される高岡御車山祭は、秀吉から拝領した山車を改造して引き回らせることが始まりであり、華麗な桃山様式を帯びた7基の御車山を引き回る秀麗さは圧巻であります。この御車山祭は県内外から多くの観光客が訪ねることは御案内のとおりでございます。
そこで、観光客の受け入れ策として既存の
観光イベントを充実するとともに、この大河ドラマが放送される平成14年の
ゴールデンウイークに
古城公園本丸広場で新たに
一大イベントを実施してはどうかと思いますが、市長のお考えをお聞きし、私の質問を終わります。
以上。
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答 弁
5 ◯議長(新田長正君) 当局の答弁を求めます。市長 佐藤孝志君。
〔市長(佐藤孝志君)登壇〕
6 ◯市長(佐藤孝志君) 大井議員の御質問にお答えいたします。
議員は、御質問の前に総合斎場問題につきまして大変温かいお言葉を賜りまして、本当にありがとうございました。
さて、御質問のJRの
経営改善計画と地域の公共交通網の確保についてのまず最初の御質問にお答え申し上げます。
最初に、戸出駅と越中中川駅の無人化の防止に関し、両駅の駅員など要員の配置、継続について、市としてどのように対応していくのかというお尋ねを賜りました。
戸出駅と越中中川駅の無人化の問題につきましては、先月8日に地元の
戸出中田地区の自治会や学校関係者、また議員各位などから、また14日には越中中川駅を利用している高校や地元自治会、議員の方々から両駅の要員配置継続に関して市への御要望をいただいたのでございます。
市といたしましては、両駅は高岡駅に次いで多い1日 2,000人を超える乗降客があることや、特に高校生諸君の利用が多いことなどを考慮して何とか無人駅となることを避ける必要があると考えております。これまでのJRとの協議の中で、JR側から要員配置の方策として既に城端線福光駅や、福野駅で導入され、また本市でも氷見線の伏木駅と雨晴駅において採用されている
簡易委託発売方式が提案されております。
この方式は、御案内のとおりJRとの契約に基づきまして、当該駅の乗車券発売額に比例して
取り扱い手数料が還元され、これを地元で要員配置を行う際の財源の一部に充てる方式であります。そういうことから、これにつきましては一定の乗車券等の売り上げが見込まれる必要がございます。このため、地域を挙げました切符類の購入や乗車の協力等、地元の方々の熱意と協力による取り組み体制の盛り上がりが不可欠であると考えております。JR西日本に対しては、このような地域の実態を御考慮いただき、戸出駅と越中中川駅の無人化の実施を当面見合わせていただくよう協議を行っております。
市といたしましては、両駅の地元関係者と十分協議し、
簡易委託発売方式の導入について一定の見通しを立てる必要があると考えておりまして、例えば地元の自治会や商工団体、学校関係者などで当該駅の
利用促進協議会など要員配置のための地元での受け皿となるべき組織化が必要となりますので、市としてもこのような組織化を戸出駅や越中中川駅の地元の方々に働きかけているところでございます。地元においても、ぜひ御協力をいただくようお願い申し上げる次第でございます。
市は、そのような組織の設置の見通しが立てば積極的に支援していきたいと思っております。できれば今月末までには無人化防止の方針を固めたいと考えておりますので、大井議員におかれましても地元の組織化に格別の御指導、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
次は、駅の無人化対策とあわせて大事なことは、その駅を利用しているJR城端線、氷見線をいかに利用するかであるが、市としてどのような利用促進策を検討しておるのかということについてでございます。
公共交通を取り巻く環境は、
モータリゼーションの進展や少子化の進行に伴い年々利用者が減少するなど大変厳しい状況にあります。そこで、本市では公共交通の利用促進と活性化につなげるための総合的な対策につきまして、新年度に知識経験者、経済界や市民団体、学校関係者、交通事業者、行政などが一体となって取り組むことを目的とした、まだ仮称でございますけれども、高岡市
公共交通利用促進協議会を設置いたしたいと考えております。
その協議会の中で、JR戸出駅、伏木駅をモデル地区として
パーク・アンド・ライド導入可能性調査を一定期間の社会実験を取り入れて実施いたしたいと考えております。また、新年度にJR能町駅前の自転車駐輪場を整備し、通学、通勤者の便宜を図るとともに、JR氷見線などの利用に役立てていただきたいと思っております。
さらに、城端線、氷見線の沿線市町村で構成する、これは既にある団体でございますけれども、城端・
氷見線活性化推進協議会と連携をとりながら、詩情あふれるローカル線の魅力を全国に発信するため、先月実施した
旅行出版関係者を招致しての城端・氷見線及びその沿線の
観光スポットをPRする
パブリシティー事業や、沿線の高校に通学している高校生の皆さん方の若い視点から見た城端線、氷見線をテーマとするフォーラムの開催も検討したいと思っております。
一方、具体的な利用行動につなげるための方策といたしまして、環境問題が地球規模で叫ばれている今日、沿線の企業や事業者にノーカーデーの協力を呼びかけ、
公共交通機関の利用をお願いするとともに、学校、自治会、婦人会などのレクリエーションや行事にも
公共交通機関の利用を組み入れていただくよう強く働きかけていく必要があると考えております。
また現在、鉄道少年団や駅周辺の学校の生徒、JRのOBによる鉄道を愛する会などの
ボランティア活動として、駅舎の清掃や花壇の植え込み作業などにも取り組んでいただいております。今後、このような活動がさらに広がるよう関係団体に働きかけ、地域のシンボルである駅舎や鉄道に愛着を持ってもらいたいと考えております。
鉄道をはじめとする公共交通の利用促進につきましては、事業者側の努力に加え、
市民一人ひとりの利用と地域や学校、職場での理解と協力が不可欠と考えております。議員をはじめ市民の皆様方の公共交通の御利用をぜひともお願いしたいわけでございます。
それから、JRの完全民営化はJRのみにとどまらず路面電車やバスなどの
地域公共交通機関にも影響を及ぼすことが予想されるので、そういうこともあって県では新年度に交通に関する機構改革を打ち出しているけれども、本市の交通政策について今後どのような組織的な対応を考えておるのかという御質問についてでございます。
本市の
公共交通利用者につきましては、
モータリゼーションの進展する中、ここ10年で残念ながらJR及び
万葉線利用者では約2割減少し、路線バスにおいては約5割減少するなど、いわゆる
公共交通離れが著しい状況にございます。今後、行政としては一層進展する高齢社会や環境問題などへの対応に加え、地域住民、とりわけ学童や高齢者の方々などいわゆる交通弱者にとって必要不可欠な交通手段を確保する面から、住民の皆様に
地域公共交通機関を利用してくださるよう呼びかけながら、公共交通の維持を存続することは直面する大きな行政課題であると考えております。
このため高岡市では、平成9年度と10年度の2カ年間にわたりまして高岡市
地域公共交通ビジョン、また11年度には、高岡市
市街地公共交通活性化計画を策定いたしまして積極的な対応を講じてきたところでございます。そして12年度は、
コミュニティバスの試行運行を含む
導入可能性調査を実施しております。
このように県下市町村の中でも本市は積極的に
地域公共交通の活性化に取り組んできておりますが、
モータリゼーションの進展や少子化の進行など、
地域公共交通を取り巻く環境は一層厳しいものがございます。
本市の
地域公共交通対策につきましては、現在、生活環境部の交通対策課が所管しておりますが、交通問題は御案内のとおり都市計画によるまちづくりや観光振興、さらには中心商店街の活性化、福祉対策、環境対策などとも密接な関連があり、さらに加えて今後は北陸新幹線の開業時の既存交通網の維持対策とも大いに関係が出てまいります。このような観点から、今後一層重要性を増します
公共交通政策の推進につきまして、全庁的に十分連携をとりながら、適切な役割分担を果たしつつ機敏に対応してまいりたいと考えております。もとより、市長など三役は市政の各般を見ておりますので、
公共交通政策が全庁的に推進されるよう指示、指揮してまいる所存でございます。
第2に、本市の観光の振興についての御質問をいただきました。
まず、
大河ドラマ放送にあわせた
観光PR作戦の展開についてでございますけれども、新年度予算では前田利長・利常の
まちづくりフォーラム開催事業費等を計上しているが、この事業の趣旨とほかにどのような
観光PR作戦の展開を考えておるのかということについてでございます。
まだ仮称でございますけれども、「前田利長・利常の
まちづくりフォーラム」は、平成14年1月から始まります
NHK大河ドラマ「利家とまつ」の放映を機に、高岡のまちをつくった二代
藩主前田利長と高岡を商工のまちとしてさらに発展させた三代
藩主前田利常の2人を中心として、加賀藩政以来の高岡の成り立ちとまちづくりに対するその時々の町民や市民の熱意、活動などをたどることにいたしております。
このフォーラムを通しまして市民の郷土意識を深めることと、今後のまちづくりに生かすことを目的に開催し、各種メディアの協力を得まして市内外からの観光客の誘客につなげていきたいと考えております。フォーラムの出演者には、大河ドラマの関係者や歴史に詳しい作家、
まちづくり関係者などの方々を考えております。高岡市では、例年県外において
高岡ふるさと物産展の開催をはじめ富山県や県西部の市町村とともに生き生き
富山観光キャンペーン、
県西部地区出向宣伝など、年間を通して約30回程度の出向宣伝を行い、高岡の観光PRに努めております。
新年度からは、
NHK大河ドラマを意識して、
高岡PR用ポスター、チラシ、パネルの制作を行うとともに、これまで「万葉の丘」と題して万葉関係のことを一番初めに打ち出しておりました本市の
観光パンフレットを題名を変更するほか、国宝瑞龍寺、古城公園など、利長、利常によって形づくられた
歴史的文化遺産を万葉関係のものと同じ程度に位置づけたものに改訂することなどによりまして、加賀藩政以来の文化が息づくまち高岡を全国にPRし、多くの観光客の誘客を図っていくことにしております。
またこのことにあわせまして、高岡市観光協会やホテル、旅館、タクシー等の観光事業者、そして市民の皆様と一体となって観光客に温かいもてなしを提供するための態勢づくりを進めていきたいと考えております。
それから、既存の
観光イベントを充実するとともに、この大河ドラマが放送される平成14年の
ゴールデンウイークに
古城公園本丸広場で新たに
一大イベントを実施してはどうかとの御提案に対してお答え申し上げます。
御案内のとおり、
NHK大河ドラマの放送は従来そのゆかりの地が観光ブーム、歴史再発見ブームに沸きまして、全国各地からの注目が集まり、多くの観光客が訪れてそのまちの活性化に大いに貢献するものとなっております。平成14年の
NHK大河ドラマの舞台となる北陸は、全国から注目を浴びる絶好の機会となりますので、これを機に本市の既存の四大祭りやイベントに大河ドラマの出演者や前田家ゆかりの関係者の参加をお願いするなど、より充実させ、高岡のイメージアップを図って、全国にPRしてまいりたいと考えております。
議員の御提案につきましては、
ゴールデンウイークの5月1日には高岡御車山祭、3日には高岡獅子舞大競演会が実施されており、多くの観光客が訪れておること。また、古城公園は利長が高山右近につくらせた高岡城の跡であり、築城から廃城までわずか6年という短い期間しかなっかたものの、そこには多くの人々のイマジネーションや歴史ロマンをかき立てるものがありますことなどから、
ゴールデンウイークの時期に古城公園、いわゆる高岡城に視点を当てたイベントを実施することはまことに時宜を得たものであると、このように考えておるわけでございます。
私どもこの興味深く、時宜を得た御提案の趣旨を十分に踏まえまして、さまざまな状況、条件等を整理しながらその実施を検討してまいりたいと思っております。また、具体的にどんなものをやっていくかというイメージはないわけでございますけれども、これからせっかくの御提言をいただきましたので、一生懸命検討してまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
以上をもちまして、大井議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。
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7 ◯議長(新田長正君) 8番 大井正樹君。
〔8番(大井正樹君)登壇〕
8 ◯8番(大井正樹君) 私は、今次3月定例会で、21世紀における本市が進む農業形態が、過去20世紀での農業の課題と反省を踏まえ、新世紀のあるべき農業の姿を、理念に基づき、計画を一つ一つ具体化していく自主的な施策の立案と実施に関してお尋ねしたいと考えております。そして、その実績こそ強い組織力となり、さらに国の農業政策を動かす力になりますし、また困難な道も開けるものと考えるところであります。
このことで、以下私の提言を交えながら農林部長に2点の考えをお尋ねいたします。
新世紀を迎え本市が抱える、また全国的な課題であります食料・農業・農村基本法の理念の実現に向けた実践や、今年いよいよ本格化されるWTO(世界貿易機関農業交渉)に向けた対応など、農業の発展と食料の分配の保障は避けて通れない多くの問題の解決が求められています。
我が国の農業や林業は、食料を生産したり木材を供給するのが本来の役割でありました。そして、この過程で本市におきましても長年市民に多くの効用をもたらしております。一方、工業生産は、物をつくり出しながら一部に有害廃棄物を発散し、自然環境を汚染したりもしております。農林業は逆にこれらを浄化し、時には人々を自然災害から守ってくれ、また心をいやしてくれるなど、精神的な効果を生む役割が大変大きいものがあります。持続可能な工業生産と本市自然環境の両立を維持していくためには、農業の発展は重要かつ不可欠な使命であります。
また、豊かな社会の建設に向かうためにも農林業の背負っている役割は非常に重く、このことが近年特に評価され、その価値が低減しないように努めていく、またさらに高めていくことが義務であり、本市農林行政に与えられた21世紀を迎えての最大の責任であろうと思っております。
しかし、1960年代以降の農業近代化政策はさまざまな形で農家経営を変貌させてきました。大型圃場への基盤整備、そして生産の合理化、効率化と称した大規模化を進め、大型機械化を継続的に促進しながら、その最中に減反政策を強化したばかりか、米の輸入まで義務化させてしまいました。
私のところへ今年1月、1人の女性農業者から相談が来ております。高岡市の、そして日本の農業を守ってくださいといったものであります。
相談内容は、生鮮野菜の輸入制限問題から始まり、米のミニマム・アクセス、最低輸入義務量の見直しを求め、全国的な運動として国に働きかけてください。1994年から99年までに農産物の価格は平均2割も下がりました。これまで夫と懸命に働いてきましたが、販売額も大幅に下がり、農家所得 700万円以上の農家数も減少に転じています。輸入増が担い手農家の、そして専業農家の経営に大きな打撃を与えていますといった相談内容であります。
確かに現代農業の労力は軽減されましたが、大型機械の回転効率は減少し、借金の返済だけが膨らんできているのが実態であります。また、1990年以降、市場を通さず中間マージンをカットできる直売で消費者に安く供給するという行政的な提案にも、市内農家は試行錯誤を繰り返し、個々に挑戦してまいりました。
しかし、有機無農薬栽培ということで、消費者から栽培法や規格を限定されては、その分高く売らなければ採算が合うわけがありません。それを安くといっても無理があり過ぎます。また、対外的な体力強化のため、競争原理を導入したのはいいが、産地間や仲間同士で足の引っ張り合いをしていては問題の解決どころではありません。過去、農水省も競争原理を挙げ、共生の新時代に向けた新たな農業経営をと打ち出しましたが、生産者と消費者、地域住民との共生といってもそれぞれが同じ次元で理解し合わなくては、実効が期待できないばかりか相互不信を募らせてしまいます。このように、さまざまな場当たり的に施策が持ち込まれ、それが定着しないうちにさらに次の施策が打ち出され、生産者は行政に一方的に振り回された感をいたしております。
この結果、1985年以降、本市のあるJA管内で農業に見切りをつけた専業農家が出始め、全国的にも農業者の担い手不足という深刻な農政課題を抱え今年21世紀を迎えたところであります。
私は、今後の農林行政で大切なことは、本市全体で農業経営の実態と農業の持つ役割と意義を、十分市民の理解が得られるよう取り組むことであろうと思います。そして、その切り札とも言えますのが、本市農業の持つ多面的機能を考慮した施策をどのように提案するかであります。
また、近年重大な関心が寄せられています遺伝子組み換え農作物の問題も、表面的な理屈だけでなく、消費者に納得と協調が得られるよう本市はこれも施策に努めていかなければなりません。私は、遺伝子組み換え農作物の問題は次回の機会に尋ねることにしまして、最初に、農業の持つ多面的施策問題について続けます。
さて、今日、農村、農業が持つ環境が一段と注目されていることに前段で触れました多面的機能が挙げられております。多面的機能には、国土の保全、水源の涵養、さらに文化の伝承、地域社会の維持活性化、そして国民、市民の最も重要な食料安全保障を背負うことさえ含まれます。
過去20世紀末まで、このことに対する一定の評価はこれまでさまざまな手法で試みられております。農水省、農業総合研究所が1998年に試算した農業生産基盤の6兆 9,000億円、2000年に林野庁が試算した森林の75兆円とも言われる中で、残念ながら現状では多面的機能の外部経済効果は、定量的に国民に評価する手法は十分に認識、確立されていないと発表され、指摘もされております。
また昨年、谷津農水大臣も日本学術会議のあいさつで、農業と林業が持つ多面的な機能については客観的に評価するよう諮問し、どんな結論が出るか注目したいと発言されております。私も同様に、このことで農業の持つ多面的機能の定量的評価の結論が本市市民が21世紀の農林業への理解になる基礎づくりになればと願っているところであります。
幸い近年、都市で生活する住民の方に理解が深まっていることは、農村生活総合センターが行った農林の役割についてのアンケート調査にもあらわれており、結果は都市、農村の居住民とも7割以上が自然災害の防止を認めています。また、水や新鮮な食料を提供する役割、自然や美しい景観を提供する役割も大きく挙げております。農林業への理解をより広げ、それを背景に農林業を守り、さらに発展させる力として農業関係者みずから具体的行動へと駆り立てていくことが今後一層大切なことと考えざるを得ません。
さて、21世紀の日本農業、農村の存在は極めて重要であり、発展させなければならないということは今述べてきたとおりであります。しかし農家の現状を見ますと、1960年以降、高度経済成長で農家生活も応分の豊かさを手に入れた一方、今後、生産の安定と継続を図るだけの事前の政策を公表しなくては、農家は農政に不信を募らせ、無気力感だけが突出していきます。国全体として農業、農村について真剣に考えなければ、ますます危機的な状況になることは明らかであります。本市農業に対する課題も多く、挙げれば相当な数に上ります。主として、食糧自給率の低下、近年輸入農作物の急増と市場原理導入による農作物価格の下落、担い手の確保、そして生産者が最も注目し見守っておりますWTO農業交渉という課題もあります。
また、農業、農村を重視した政策を実現するには、特に新農業基本法のもとで所得政策、価格に対する対策、経営問題等が農業、農村を構築する上で重要な課題となります。また昨年12月定例議会で質問しました輸入農産物増加による野菜生産農家の農作物価格の急激な下落で将来へ強い不安と懸念を持ち、野菜一般セーフガード(緊急輸入制限措置)の発動を求める生産者の声は、今年に入り本市でも一層高まってまいりました。野菜については輸入の影響が非常に大きく、2000年は日本の輸入野菜が急増した年として記録され、昨年は最大となり、物流経済の国際化は国内農産物を大きく直撃いたしております。生鮮野菜も国際化へと一気に進み、輸入生鮮野菜は昨年10月までの累計で約81万トンとなり、さらに前年比2%増と年末にかけ一段と輸入増加傾向が続き、最終12月では 100万トンを超すのではと危惧する声も出ております。農水省も昨年いよいよ調査に乗り出し、それだけ農作物輸入がもたらす日本農業の深刻な状況を物語っております。
このように、農家が生産意欲に欠けてきたのは、特に1980年から2000年まで、あらゆる分野で画一化が進み、その結果地方農業独自の力強さが失われ、政策と生産現場に矛盾が生じ、それが開き過ぎてしまったことが大きな要因であろうと考えます。画一化は、農業政策のまとまりをよくした反面、生産者の持つ優良米づくりに頑張ってきた精神、意欲を大きく奪っております。
政策が農業を成り立つ方向にしなければ、目指す方向も目標も定まりません。私は、以上、種々述べてきましたが、本市の全作付水田面積 4,524.2ヘクタールを、21世紀初頭には目的別に生産作付配分を決め、特に著しく市街地の進む地域あるいは一部中山間地に作付可能な新たな畑作物を、また現行施策の土地利用型農業活性化対策事業に取り組む地区は線引きし、全市で二毛作体系の確立を図り、基本助成の上積みや現行の水田高度利用等加算金の所得に対応できる取り組みを行い、また農家所得の向上を今後一層図ることが最も重要な施策になると考えるものであります。
しかしこのことは、各地区で議論が出ることは必至であろうと思います。地区の適正に応じた生産形態は、将来いかに本市農業の優位性を高め、新世紀に提案することで高岡農業の継続発展を促すものとなります。これは、議論を重ねる以前の提起として、本市農林行政が、また農業関係者も含め組織を挙げて生産体系を示さなければ、実態として今後も農林業者は生かさず殺さずの政策に甘んじ、末は耕作放棄へと衰退への道を歩むことは難なく想像に値するものであります。私は、本市の一部中山間地農業対策として、現在アメリカ、ヨーロッパで実施しています農業所得を支持するデカップリング方式等の議論は、今回求めません。
今回は、農林部長に次の2点についてお尋ねいたします。
1点目は、本市の主な水田について、作付可能な作物ごとの耕作地域を定めることも重要ではないかと思いますが、考えをお尋ねいたします。2点目は、水稲を中心とした作付適地圃場を線引きし、農業所得に対応できる取り組みが必要ではないでしょうか。今お尋ねした2点のことにより、本市農業の生産体系マップ(図)がつくられ、将来の農作物の優位性が高められ、さらに本市農業の多面的機能を生かす中山間地あるいは市街地の農地に配慮した対策になると考えるものであります。
今次定例会では、本市は平成13年度農業施策にさまざまな事業、また予算を計上されています。農業振興整備事業計画から、農業土木事業及び林業振興事業等々と細目にわたり施策は提案されていますが、2001年を迎え、本市農業の今後の生産作物をまた新たに提案し、さらに作付箇所をつくり、作付生産体系が羅針盤となるような計画を提言することは非常に貴重で意義のあることと考えます。農林部長に対し、農業振興にかかわる本市農林業の進むべき体系図を示していただき、私の質問といたします。
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答 弁
9 ◯議長(新田長正君) 当局の答弁を求めます。農林部長 立野井清君。
〔農林部長(立野井清君)登壇〕
10 ◯農林部長(立野井清君) 大井正樹議員の農業問題についての御質問にお答えいたします。
まず、本市の主な水田について、作付可能な作物ごとの耕作地域を定めることが重要だと考えるが、所感はいかがかということでございますが、本市の農業生産の特徴といたしましては、圃場整備率が98.1%と県内でも高い水準にあることや、第二種兼業農家率が92.3%と高く、極端に水稲に特化した生産構造となっていることが挙げられます。
このような中で、農業振興地域の整備に関する法律に基づき高岡農業振興地域整備計画を定め、農用地区を設定し、地域の特性に応じた各種施策を講じているところでございます。
また、農業生産者におきましても、水稲を中心に園芸作物等土壌条件や作付体系を考慮した田畑輪換、水田を畑、水田と交互に利用することでございますが、これを中心に大根、白菜、トマト、ナス、ホウレンソウ、チューリップ球根など、それぞれ適地として、経験に裏打ちされながら取り組まれているのであります。
しかしながら、本市農業の担い手は基幹的農業従事者の減少は言うに及ばず、これまで地域農業の基本的土台であった兼業構造自体の崩壊が深く進行しつつあり、今後ますますその傾向は進展すると考えられますし、一方で農業生産額もこの15年間で半減し、本市における農業の後退は深刻な事態に至っているのでございます。
このような状況を踏まえ、本市ではこのたび21世紀初頭の農林水産業の進むべき方向を明らかにし、より具体的できめ細かな施策を展開していく方策を示すため、生産者と消費者がともに考え、ともに行動するという生消融合を土台とした農業、農村づくりを基本理念とした高岡市農林水産業振興プランを先日作成したところであります。
このプランでは、施策展開の基本方針の一つといたしまして、地域農業の企画、運営の主体はあくまでも生産者、住民であり、行政、農協等関係団体はあらゆる方向からこれをサポートするという自発的な地域社会づくりを基礎とした農業・農村システムを構築することが必要であるとしております。
このことは、地域の農用地を地域で守り、地域農業者みずからの合意形成と主体的な取り組みにより、地域の農業資源や人的資源を有効かつ最大限に生かしながら、高岡らしい生き生きとした農業の実現を目指そうということであり、本市農業の振興にもつながるものと考えております。
議員御提案の作物ごとの耕作地域を定めることにつきましては、一つの貴重な御意見であると思いますが、農業者の自発的かつ創造的な営農への情熱をそぎかねず、地域での営農システムの構築にも影響を与えるものと懸念され、今後とも生産者と消費者の相互理解、協働に基づく地域での自発的な営農システムの確立に向けまして、市といたしましてもできるだけの支援をしていきたいというぐあいに考えております。そういう中から結果として何らかの生産体系マップ的なものが出てきてくれればと思っております。
次に、水稲を中心とした作付の適地を線引きし、農業所得に対応できる取り組みが必要ではないかとの御質問にお答えいたします。
先ほども申し上げましたとおり、水稲をはじめそれぞれの作物の作付は地域の自発的な取り組みが望ましいと考えており、本市といたしましては、そのためのさまざまな条件整備に取り組んでいきたいと考えております。本市農業の現状を打開し少しでも農業経営の安定を図るためには、野菜を中心とした園芸等の振興を図り、複合経営化、都市近郊型農業への転換が必要であると考えております。
このため、1つには、省力、低コストな良質米の生産と販路の拡大や高品質な麦・大豆生産の支援を内容とした生産性の高い水田農業の推進。2つには、新鮮、安心、安全をアピールした野菜生産と地産地消──地元の生産物を地元で消費するということでございますが──の拡大や農業特産物の加工販売の促進、3つ目には、チューリップ球根産地のメリットを生かしたチューリップ切り花の産地化等を内容とする園芸振興と複合経営化の促進。4つには、複数のチャンネルからの流通の促進。5つには、人と自然に優しい環境保全型農業の促進等について、今回策定いたしました農林水産業振興プランに盛り込んだところであります。
このような考えのもとで、例えばでございますが本定例会の予算にもお願いしておるところでございますが、戸出地区で取り組まれるナタネ栽培とその食料油の加工・販売、付加価値としての花による景観の醸成など、まさに都市近郊型農業の取り組みや農業特産物の育成、農産加工の起業などに対して積極的に支援していくことにしているのでございます。
今後とも、関係機関ともども知恵を出し合い、農業所得の向上を目指し、本市農業の振興に努力したいと考えておりますので、議員の一層の御理解、御協力をお願いいたしまして、答弁とさせていただきます。
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11 ◯議長(新田長正君) 14番 杉森利二君。
〔14番(杉森利二君)登壇〕
12 ◯14番(杉森利二君) 平成13年3月定例会に当たり、通告に従いまして質問をいたします。
本年初頭1月6日に、中央省庁が1府12省庁に再編されました。これを機に、2005年までを目標に市町村合併を促進する流れが打ち出されてまいりました。これは、行政改革大綱の与党行財政改革推進協議会における市町村合併後の自治体数を 1,000を目標とするという方針を踏まえて、自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政改革を強化するとの決定を受け、本年は市町村合併の動きが注目をされております。現在、3,250 余りの自治体を約 1,000自治体にすることが目標であります。地方分権の時代に対応できる力を自治体が持ち、効率的で質の高いサービスを提供するために大きなかぎを握ると考えるものであります。
市町村合併により受けるメリットとしては、1つには、高齢者などへの福祉サービスが安定的に提供でき、その充実も図られると思います。2つには、保健、土木などの専門的な高度な能力を持つ職員を確保し、育成でき、行政サービスへの向上が期待できるものであります。3つには、広域的な視点から、道路や市街地の整備、文化施設、スポーツ施設などの整備を効率よく一体的なまちづくりを進められます。4つには、重点的な投資が可能になり、大型プロジェクトを実施できるものであります。5つには、行政経費が節約され、少ない経費でよりよい高い水準の行政サービスが可能となるものであります。今以上述べてまいりましたが、今回、時限立法として合併特例法は、2005年3月までに市町村合併すれば特別交付税措置が受けることができます。
本年1月には東京都田無市と保谷市で西東京市が誕生し、5月には埼玉県浦和市、大宮市、与野市の3市でさいたま市が誕生し、将来の政令指定都市移行を視野にスタートが切られております。また、三重県伊賀地区では、上野市など6市町村で伊賀市構想をめぐり任意の事前協議機関となる合併問題協議会がこのほど発足されたものであります。その合併協議会では今後の事業として、1つには住民意識の啓発、高揚のためのパンフレット作成や配布など、合併に向けた啓発活動、2つには、アンケート調査による住民意識調査、先進地の調査などが計画されております。
合併決定の前段階には、関係自治体間で設置されることになっています合併協議会の設置状況は、本年1月29日現在では20協議会、69市町村であります。合併の理由は、まず地方分権の流れの中で今後健全な地方行政を進める上での個々の自治体の財政力不足が挙げられると思います。本年1月に合併した西東京市によると、合併に伴う費用節減は、職員数や事業経費の削減などで住民サービス水準を維持しながら、向こう10年間で約 190億円に上ると試算されております。県内においても、本年2月14日に、県広域行政等研究会で県内35市町村の合併パターンを取りまとめられました。それによりますと、現在あります広域圏事務組合を基本にし11案を作成され、広域圏を基本に最少の4案が示されております。また、広域圏をまたぐ組み合わせも示されております。
これにより、県内の合併議論は一段と身近な問題となりつつあります。射水広域圏では、県内のトップを切り合併運動を始めています射水圏政経懇話会があります。射水圏政経懇話会の新湊代表幹事のコメントが、先日、新聞の記事に紹介されておりますが、それによりますと、「首長、議員減で3億円が節減できるのをはじめ、多くのむだを省くことができます」と話をされておりました。合併特例法を生かして住民の豊かな生活ができるならと、合併を進めて射水市の実現を目指しておられます。
この市町村合併は、国や県が決めるのではなく、住民が選択するものであります。県内第2の都市である高岡市から、市町村合併を高岡広域圏、射水広域圏の構成自治体に呼びかけてはどうかと思いますが、佐藤市長はどのような構想をお持ちなのかお尋ねいたします。
また、21世紀に安定した地方行政を運営していくためにも、市町村合併が必要不可欠な要素と考える一人であります。行財政改革と地方分権を推進するためにも緊急の課題であると思います。
このことから、高岡市の将来構想を考えるときに、市民に説明され、今回の中核市の基準の緩和に伴い高岡市として中核市を目指す考えはないか、佐藤市長にお尋ねをいたします。
次に、公共事業の入札及び契約についてお尋ねいたします。
公共事業に対する批判の声はかつてないほど高まり、極端な公共事業無用論が聞こえてくるようになりました。最近沸き起こっている公共事業に対する批判は、公共事業自体の有効性や効率性が疑問視され始め、景気対策、財政再建との関連や環境破壊への懸念といった問題が提起されているものであります。最近では、長野県では田中知事のダムの無用論が各方面で話題になっております。快適な暮らしやすい社会づくりを維持していくためにも、防災対策、福祉施設、下水道整備などを行う公共事業は必要不可欠であります。
公共事業の入札、契約については、平成5年のゼネコン汚職事件以来、中尾元建設相の贈賄事件に端を発し、それを教訓に透明性、公正性を確保するためにも政府において公共事業請負契約適正化法が今国会において全会一致で可決されたところであります。この法律は、国、特殊法人、自治体を含めたすべての公共事業発注者に対して、入札、契約の適正化を義務づけています。
この公共事業の入札及び契約の適正化の促進に関する法律は6章に構成され、1章では法の目的や定義に関する規定、2章では公共事業の発注に関する事項の情報の公表化、3章では不正行為に対する措置、4章では施工体制の適正化に関する規定、業者には、一括下請けの禁止や施工体制台帳の提出の義務づけ、5章では発注者の適正化方針、6章では国による情報の収集から成り立ち、この法律の特徴は毎年度の公共事業名、入札時期などの発注見通しや入札に参加した業者名、入落札金額の公表を義務づけているのが特徴であります。
先日、藤沢市に入札・契約に関する調査に行ってまいりました。藤沢市では、数年前から年間の公共事業発注計画の公表や、設計金額の事前公表や設計図貸し出しが行われております。高岡市においては、高岡市民病院の機材納入に関しては大変不幸な出来事であると思います。これも、市の年間発注計画の公表をしていれば防げたのではないかと思います。行政のIT化の進む横須賀市では、工事発注情報をホームページで公示し、条件が満たしたすべての業者が入札に参加できるようにいたし、入札結果や参加業者への価格を公開するなど、ネットを活用した入札制度の透明化に努めた結果、業者間の競争が高まり、年間30億円以上の工事費の節減につながったとあります。
県内では、砺波市においては公共事業などの入札で予定価格の事前公表をする制度を平成13年度より実施することになりました。同市では、事前の価格、聞き出しなどの不正行為をなくするためなど、公正な入札業務が保たれることを期待されております。昨年4月より予定価格の事前公表が試行され、その結果、落札金額は1%低くなり、砺波市にとっては財政的効果があったとされております。高岡市においても、当年度の公共事業の発注計画と設計金額を市のホームページで公表すれば、公正性や透明性が確保できるのできるのではないかと思います。
さきに述べてまいりましたが、公共工事の入札及び契約の適正化への促進に関する法律では、工事の一括下請けの禁止や施工体制台帳が義務づけられています。そこで、同族企業に対する措置はどう考えるのか、また、平成13年度から施行される公共事業の入札及び契約の適正化の促進に関する法律を推進する立場から、公共事業の発注者としての高岡市のどのような形態を考えているのか、稲垣財政管理部長にお尋ねいたします。
次に、電子入札やホームページの活用をお尋ねしたいと思います。
国において、電子政府の実現に向けた推進が図られております。このことから、2003年度までに国の行政機関での行政手続の完全電子化を目指しています。これによって、国民が自宅や職場からインターネットを利用して24時間いつでも国の制度や省庁の情報の閲覧や税の申告などの手続が行えるようになり、国民へのサービスが大きく向上すると思います。国土交通省の公共工事においても、本年度より試行的に電子入札や電子手続等の電子化が推進されているところであります。
このことにより、高岡市でもITの推進が行われているところでありますが、公共事業の分野でもIT化を進める必要があると思い、電子入札やホームページでの情報公表が大事なことであることから活用を推進してはどうかと思いますが、稲垣財政管理部長にお尋ねし、質問を終わります。
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答 弁
13 ◯議長(新田長正君) 当局の答弁を求めます。市長 佐藤孝志君。
〔市長(佐藤孝志君)登壇〕
14 ◯市長(佐藤孝志君) 杉森議員の市町村合併についての御質問にお答え申し上げます。
まず、市町村合併につきまして、高岡地区、射水地区広域圏の構成自治体に働きかけ、県西部のリーダーとしてイニシアチブをとって積極的に推進してはどうかとのお尋ねにお答えいたします。
富山県市町村内の広域行政のあり方などの検討を行ってきました市町村広域行政等研究会におきましては、今ほども御発言のございましたとおり、先月、市町村合併について具体的な論議を行う際の参考となる市町村の合併パターンが取りまとめられ、市町村に示されたところでございます。合併パターンとしては、現在の5つの広域市町村圏、つまり高岡、射水、砺波、富山、新川広域圏の5つでございますが、これを基本に全体で11通りのパターンが設定されております。我が高岡市に関する合併パターンといたしましては、1つは、高岡市、新湊市、小矢部市、福岡町の3市1町からなるもの。2つは、高岡市、氷見市の両市からなるもの。3つには、高岡広域圏と射水広域圏を合わせた4市4町1村からなるものの3つの案が示されております。このうち高岡広域圏と射水広域圏を合わせたパターンが中核市を目指すパターンとして示されているのでございます。
私といたしましては、近年、市民、企業などの日常の社会経済活動の範囲がますます広くなってきていること、またこれからの低経済成長のもとで各市町村が各種の施策事業を相協力して広域的に実施した方が財政的に効果的であることなどから、各地域ごとの歴史、文化、伝統や住民意識への配慮ということと、地域バランスを考慮した都市施設の配置ということなどを条件として、将来的には市町村合併は望ましいことであると考えております。何分にも市町村合併は地域のあり方の基本にかかわることでございまして、対象となる地域の将来や住民の生活に大きな影響を及ぼす事柄でありますことから、関係するそれぞれの市町村におきます各界各層、地域住民や議会での機運の盛り上がりのもとに、議会など各方面の十分なコンセンサスを得て進められるべきものであると考えております。
それから、地方分権が叫ばれている現在、21世紀の姿を市民に訴えるためにも中核市を目指してはどうかとの御質問でございます。
中核市につきましては、御案内のとおり、指定都市以外の都市で規模、能力が比較的大きな都市につきまして、福祉、衛生、まちづくり等の事務権限を強化し、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにして、地域行政の充実に資するべく平成6年に設けられた制度でございます。県内の市町村広域行政等研究会でまとめられました合併パターンの中には、将来的には人口30万人、面積 100平方キロメートル以上を要件とする中核市への移行パターンなども示されております。市町村広域行政等研究会が示した合併パターンや富山県が策定を予定されています市町村合併支援要綱、まだ仮称でございますけれども、そういう要綱を市町村合併についての具体的な議論のたたき台として地域住民の意思を基本に合併広域行政問題のあり方、中核市などへの移行も含めて、幅広い議論のもとにこれから論議がなされていくものと考えております。
今後、合併問題などにつきまして、広く市民の皆様に情報提供を行う場として講演会やシンポジウムの開催などが行われますれば、本市としてはこれを大いに支援してまいりたいと考えております。
以上をもちまして、杉森議員の私に対する御質問の答弁とさせていただきます。
15 ◯議長(新田長正君) 財政管理部長 稲垣俊夫君。
〔財政管理部長(稲垣俊夫君)登壇〕
16 ◯財政管理部長(稲垣俊夫君) 杉森議員の公共工事の入札及び契約についての御質問にお答えいたします。
まず初めに、13年度から施行される公共事業の入札及び契約の適正化の促進に関する法律について、高岡市としてどのような考えで推進するのかとのお尋ねでございます。
本市では、公共工事等の入札及び契約に係る業務の遂行に当たりましては、常にその透明性と公平性の確保を図るため種々の改善に取り組んできたところでございます。平成6年には、入札参加資格者の等級別格付を本人へ直接通知することとし、また、入札談合情報への対応として談合情報対応マニュアルを作成し、適切に対処してきたところでございます。平成7年には、多様な入札方式の活用を図るため、制限つき一般競争入札、意向確認型使命競争入札の導入。平成8年には工事完成保証人制度から債務不履行により工事遂行不能となった場合の経済的損失補てんを目的とする履行保証制度への移行。平成11年には、指名競争入札に関する指名基準、格付基準と発注基準、設計金額別の業者指名数を公表して年度初めから適用いたしますとともに、入札参加業者と入札金額、落札者と落札金額、予定価格の事後公表を実施してきております。また現在は、低入札価格調査制度の導入を検討いたしておるところでございます。
本市における公共工事の発注につきましては、入札参加資格申請、いわゆる指名願でございますが、この入札参加資格申請などにより指名選定基準に沿い、ランク、技術者、工期等について検討をし、業者の選定を行っております。なお、その過程の中で同族業者であるおそれのあると考えられる場合には、その会社の役員構成や営業活動の状況等について調査し、指名選定の判断としておるのでございます。
御質問にありました公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律は、昨年11月に成立し公布されたところでございますが、この法律では、国、特殊法人等及び地方公共団体が行います公共工事の入札及び契約につきまして、その適正化の基本となるべき事項が定められるとともに、工事の発注に関する事項の情報の公表、談合情報対応マニュアルの策定など、不正行為等に対する措置及び一括した請負の禁止や施工体制台帳の義務づけなど、施工体制の適正化の措置を講じ、公共工事に対する公正性と透明性の確保を図り、国民の信頼の確保とこれを請け負う建設業の健全な発展を図る目的として定められたものでございます。
工事の発注に係る情報の公表につきましては、本市の場合、今ほど申し上げましたとおり既に実施しているものも幾つかございますが、その公表の時期あるいは方法についてはまだ検討すべき点もあり、またいまだ実施しておりません毎年度の発注見通しの公表等につきましては、その公表の方法、時期、金額、対象工事などの検討を進めてまいりたいと考えております。
また、この法律を円滑に推進していくため、富山県公共工事契約業務連絡協議会、これは会長は県の土木部長さんでございますけれども、この協議会では今月14日、来週でございますが、14日に総会を開催され、その際、県内市町村の担当者を対象に法律の説明など詳しいことが行われることになっております。また、本年4月中旬には国土交通省でガイドラインが策定される予定でございまして、それらの内容を踏まえながら発注見通しの公表を含めた入札契約の適正化のための方策をさらに検討し、一層の公平性、透明性の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に2つ目の御質問ございますが、電子自治体を推進していくに当たり、電子入札やホームページの活用をとのお尋ねでございます。
電子入札の導入につきましては、国土交通省で先行して平成7年度から実証実験を含む技術的課題の検証が進められてきております。そして、本年10月から国土交通省及び各地方整備局並びに各事務所で、一部の直轄工事で電子入札業務を試行的に実施すると発表されております。地方公共団体におきましては、国土交通省の事例を参考に今後具体的な対応をしていくことになると考えております。
電子入札が導入されますと、競争入札への参加資格の確認、入札執行、入札結果の通知などがインターネット上でやりとりできるようになり、入札会場までの移動の不要などによります建設コストの削減や入札事務の効率化などの効果が期待されますが、市内業者のIT化への対応状況や国土交通省のシステムとの整合性などに留意する必要があります。
本市では、平成13年度で策定を予定いたしております新高岡市地域情報化基本計画の中で取り組んでいくものといたしまして電子申請等の検討を掲げておるところでございまして、その中で電子入札についても検討することといたしております。今後、国・県の支援も得ながら、電子入札の導入について調査研究を行ってまいりたいと考えております。
以上で、私の答弁とさせていただきます。
17 ◯議長(新田長正君) この際、しばらく休憩いたします。
休 憩
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休憩 午後2時29分
再開 午後2時47分
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再 開
18 ◯副議長(畠 起也君) 休憩前に引き続き、本会議を再開いたします。
なお、議長にかわりまして私がその職務を行いますので、よろしくお願いをいたします。
個別質問、質疑を続行します。16番 藤田大了君。
〔16番(藤田大了君)登壇〕
19 ◯16番(藤田大了君) 通告に従いまして、道の駅の整備、市民病院の医療ミス防止対策、
コミュニティバスの運行、以上の3項目について質問をいたしますので、当局の積極的な御答弁をよろしくお願いをいたします。
まず、道の駅の整備についてであります。
昨年は2000年とやま国体が開催されましたが、その夏季大会が開催される前、高岡市民待望のインターである能越自動車道高岡インターが開設いたしました。さらには、高岡インターから高岡北インター、氷見、七尾へと順次整備が進められることとなっており、これもひとえに市当局をはじめ関係各位の御努力によるものと深く敬意を表するものであります。
高岡インター周辺のアクセス道路の整備も着実に進んでいるようであります。高規格道路であります高岡環状線の佐野-六家間が新年度から事業化され、基本設計や測量、調査に着手されることとなりました。この幹線道路は高岡インターと国道 156号とを結ぶ南郷大橋に至るもので、本市の活性化はもとより市街地の交通渋滞の緩和にもつながるものと期待をいたしておるものであります。
さて、高岡インター周辺の整備は、特に道の駅の整備につきましては、昨年も質問させていただきましたが、その答弁も踏まえて改めて質問をいたします。道の駅は駐車場やトイレ、道路情報の提供機能などを備えた休憩施設、それと地元の観光情報、特産物などの物産販売あるいは飲食機能などを備えた地域振興施設、この休憩施設と地域振興施設の2つを一体的に整備するものであります。
そこで、まず地域振興施設について質問をいたします。
休憩施設は、道路管理者である国土交通省において整備されるものですが、地域振興施設は市や民間あるいは第三セクターで整備されると仄聞いたしております。県内にも多くの道の駅が設置されておりますが、それぞれの道の駅の特徴は地域振興施設にあります。地域振興施設をほかにはない魅力のあるものとすることによって、道路利用者にはもとより県内外から多くのお客様の利用促進につながるものと考えております。
これらのことを踏まえ、地域振興施設の整備主体についてどのように検討をしておられるのか都市整備部長にお伺いをいたします。
次に、道の駅の青写真はどの程度でき上がっているのでしょうか。備えるべき機能、整備主体、営業主体など、さまざまな課題があると考えられます。基本計画の作成や国への登録などの手順を踏んでいつごろの完成を目指し協議を進めておられるのか、都市整備部長にお伺いをいたします。
高岡の新しい玄関口にふさわしい道の駅の早期整備を切望するものであります。
次に、道の駅の整備に関連して、高岡インター周辺の市街化区域の編入についてお伺いをいたします。
昨年の答弁では、能越自動車道の2つのインター周辺地区については、高速道路の優位性を生かし、計画的な市街化を誘導する必要があるとお答えをいただいております。しかし、先ほど出された線引き見直し案では、市街化調整区域から市街化区域への編入地区として高岡インター周辺は含まれていないのであります。地元住民の方々との協議や具体的な土地利用計画など、問題はあるかと思いますが、高岡インター周辺の市街化区域の編入について、今後どのような方針を持っておられるのか、その考え方を都市整備部長にお伺いをいたします。
2番目の項目として、市民病院の医療ミス防止対策について質問をいたします。
昨年の市民病院における投薬ミス、さらには手術時のガーゼ置き忘れの発覚は、病院の全面改築をほぼ終え、これから本格的に医療活動に専念しようとしていた矢先のことであり、私も大きなショックを受けました。あるマスコミ報道によりますと、全国で医療ミスは年間 300万件も起きていると推計されており、事故は初心者とベテランとの区別もないと報じております。また、勤務中の医師や看護婦は、何度も冷やりとした場面に遭っていると聞きます。
このようなことからも、人間の行動には多かれ少なかれ思い違いやうっかりミスが伴うものと思われます。しかし、人命を預かる医療機関においては思い違いやうっかりミスは許されることではありません。ミスを発見するチェック体制、特に大きな病院での医療ミスが相次いでいることから、大きな病院という組織に潜む危険要因を取り除く体制づくりが大切なことではないでしょうか。
そこでまず、市民病院事務局長にお伺いをいたします。
全国の病院においてどのような医療ミス、事故などが発生しているのか。病室、手術室あるいは廊下などの場所、また事故の原因など医療ミス、事故の発生状況をお示しください。
次に、医療ミスを防ぐ体制づくりについてお伺いをいたします。
今回の医療ミスの場合、いずれもパソコン作業や手術での手順マニュアルがあり、作業が正しく行われたかどうか正確に確認していれば十分避けられた事故であるように思われますが、大きな病院という組織に潜む危険要因と人為ミスとが絡んで起きる事故を防止するには、手順マニュアルを守るだけでは不十分であり、一定の限界があるものと考えられるのであります。
市民病院では、事故後、チェック体制の強化や職員の研修など、医療ミス防止対策に取り組んでおられますが、これ以外に大きな組織における職員の緊張感の持続、ミスを正直に報告する雰囲気づくり、安全対策の内部監査などの対策をとる必要があると考えられます。これらの点を踏まえて、今後の医療ミス防止対策について市長にお伺いをいたします。
また、手術時のガーゼ置き忘れミスでは、医療ミスの公表について、患者のプライバシーや医師の守秘義務との関連が問題となりました。県内の公的病院長によってつくられている協議会では、事故防止小委員会を発足させ、外部への公表について基準を作成されると仄聞いたしております。
市長も「公表の基準を持つ他の病院や有識者に聞き、公表の内容について検討し、基準を設けたい」と述べられておられますが、これらの検討の状況をお聞かせください。
最後の項目として、
コミュニティバスの運行について質問をいたします。
全国各地で
コミュニティバスの運行が実施されておりますが、本市においても昨年11月から年末にかけて試行運行されました
コミュニティバスは大変好評でありました。利用状況は1日平均 300人以上、1便当たりの乗車数は10人以上あったと聞いております。また、この運行にあわせて、中心商店街が買い物されたお客様に進呈した無料乗車券は、利用者全体の1割近くを占めておりました。
高齢者や主婦などの交通弱者の方々を中心に
コミュニティバスを利用することによって、中心市街地の活性化や万葉線との連携など、相乗効果も生まれてくるものと期待をするところであります。
2月には、
コミュニティバス導入検討委員会を開催され、また新年度予算では
コミュニティバスの運行のための経費が計上されております。使用する車両の確保、採算性、万葉線や他の
公共交通機関との連携など、さまざまな課題があります。
そこで、
コミュニティバスの運行時期について、生活環境部長にお伺いをいたします。
マスコミ報道によりますと、今年の秋と報じられておりますが、先ほど申し上げました課題や運行ルートの検討などを経て、現在予定しておられる本格運行の時期についてお答えください。
次に、採算性の問題についてお伺いをいたします。
まず、使用する車両の購入費など、初期投資をどのくらい見込んでおられるのか。
金沢市で運行されている
コミュニティバスは、海外からの購入したもので1台 2,000万円以上もします。入り組んだ市街地を走るため、車体も小さく小回りがきき、しかもノンステップの高齢者に優しい車両が最適であると考えられます。また、車両購入などの初期投資を除く、運転手の人件費などを含めた年間の運行経費をどれぐらい見積もっておられるのでしょうか。料金を試行運行のまま据え置くとすれば、ある程度の赤字運行は明らかであると考えますが、コストダウンと効率的な運営が求められるところであります。生活環境部長の明快な御答弁をお願いいたしまして、質問を終わらさせていただきます。
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答 弁
20 ◯副議長(畠 起也君) 当局の答弁を求めます。市長 佐藤孝志君。
〔市長(佐藤孝志君)登壇〕
21 ◯市長(佐藤孝志君) 藤田議員の市民病院の医療ミス防止対策についての御質問にお答え申し上げます。
まず、実施済み並びに今後の医療ミス防止対策について申し上げます。
先般の医療事故発生後、市民病院におきましては直ちに投薬ミスによる医療事故の発生要因となった薬剤処方システムの改良に取り組み、これまでに毒薬検索画面を作成あるいは毒薬、劇薬、麻薬と一般薬との区分の明確化、注意を必要とする薬品については薬効を付記するなどしてまいりました。
また、ガーゼ等の遺留事故につきましては、これまでは手術前に確認したガーゼや医療器具等の数と手術後の数が合わないときに初めてエックス線でチェックを行っておりましたが、事故後は使用したガーゼや医療器具等の数が手術前の数と合う合わないにかかわらず、手術をして縫合する前に必ずエックス線で調べることなど、システムの改善を行うとともに医療行為を確認することを徹底いたしました。
また、医療事故防止に関する研修の強化にも取り組んでおりまして、講師をお招きして医師をはじめとする全職員を対象にしたリスクマネジメントに関する研修会を開催したほか、看護科、薬剤科の合同で毒薬、劇薬、麻薬の取り扱いなどに関する勉強会を開催しております。
さらに、医療事故防止対策マニュアルを作成するべく現在検討中でございます。今のところ、このマニュアルは、総論と医療事故防止に向けた基本的対応と医療行為別事故防止対策マニュアルの3部構成にしたいと考えております。マニュアルは、医療従事者等に幅広く配布し、各部門ごとにそれぞれの担当業務についての研修会などを行うとともに、担当業務外のこともみずから勉強し、事故防止に役立つものにしたいと考えております。
また、医療事故防止体制の強化を図るため、医療事故防止対策委員会のもとに事故防止対策に関する早急な対応を図るため小委員会を設けるとともに、新たに副委員長がゼネラルリスクマネジャーとなり、病院全体のリスクマネジメントを統括していくこととしております。既にそういうことを実施済みでございます。
次に、医療ミスの公表基準についての検討状況はどうかということでございます。
重大な医療事故について自発的に公表することは、医療の安全管理を徹底していくことや病院運営の透明性を高めることにより、市民や患者の皆様の信頼を確保でき、信頼の回復が図れること等から適切なことと考えております。一方で、医療事故の公表については、患者のプライバシーを守ること、医師、看護婦等医療従事者の旺盛な勤務意欲への影響や、医療過誤によるものかどうかなど大変判断が難しい面もありまして、具体的にどのような医療事故について公表すべきか一義的に定めることはなかなか困難でございまして、基準を設けたとしても個々の事故の実情に即して考えるほかないのではないかと、このように思われるわけでございます。
しかし、今ほど申し上げましたとおり、当市民病院では、種々検討の上、公表基準を作成する方針でおります。この公表基準の作成に当たりましては、これまで入手している横浜市立大学病院改革委員会や新潟県立病院医療事故防止対策委員会において検討、作成された医療事故の公表基準、また現在、医療事故発生時の対応や公表の必要性などについて検討されている富山県公的病院長協議会の公表基準を参考にしながら、我が市民病院の基準を作成したいと考えております。
まだ検討中でございますが、現時点では、患者や部位の取り違え、異型輸血、これは異なった型での輸血でございますけれども、異型輸血、それから誤薬投与、異物体内残置のこういったことの医療過誤が原因で重大な医療事故が発生した場合は、関係行政機関、警察署への届け出を終え、また患者等の御理解をいただいた後、医療事故の事実を正確かつ迅速に社会に公表することとしてはどうかと、こういう考えでおるわけでございます。
以上をもちまして、藤田議員の私に対する御質問の答弁とさせていただきます。
22 ◯副議長(畠 起也君) 都市整備部長 高林繁行君。
〔都市整備部長(高林繁行君)登壇〕
23 ◯都市整備部長(高林繁行君) 藤田議員の道の駅の整備に係る御質問にお答え申し上げます。
まず、道の駅にあわせて設置される地域振興施設の整備主体についての御質問であります。
現在、国土交通省と連携を図りながら、有識者や地元関係者による高岡道の駅検討委員会を設置し、施設内容や配置計画等を検討しているところであります。この道の駅は、能越自動車道高岡インターチェンジの直近で設置することから、その立地の特性を生かし、高岡の新しい玄関口として観光や特産品などの情報を提供することを中心に、多くの人に御利用していただけるよう魅力ある内容とした施設を目指したいと考えております。国土交通省が定める道の駅の登録要綱では、地域振興施設の設置者は市町村またはこれにかわり得る公的な団体とされていることから、現在、地域振興施設につきましては、高岡市が設置し、その管理運営については公益法人等に委託するという計画で検討を重ねているところであります。
次に、高岡の新しい玄関口にふさわしい道の駅の早期整備を切望するが、いつごろの完成を目指しているかという御質問でございます。
(仮称)高岡道の駅につきましては、今ほど申し上げました検討委員会での検討結果を踏まえ、国土交通省と連携をとりながら、遅くとも平成15年度中のオープンを目指したいと考えております。
最後の御質問は、高岡インター周辺の市街化区域への編入についての考えはいかにという御質問でございます。
市街化区域の編入につきましては、農業調整や具体的な開発が確実であること等が必要不可欠な条件であります。現在の高岡インター周辺地区は、現在具体的な計画がございませんので、今回の見直し案には入っていないのであります。高岡インター周辺地区につきましては、高速道路の優位性を生かした土地利用計画や開発整備計画が必要であると考えておりまして、御承知のとおり新年度予算にインターチェンジ周辺開発計画策定費を計上いたしているところであります。
お尋ねの高岡インター周辺の市街化区域への編入につきましては、今後、この調査結果も踏まえ、具体的な開発整備が確実になった段階で対処してまいりたいと考えております。
以上、私に対する藤田議員の御質問の答弁とさせていただきます。
24 ◯副議長(畠 起也君) 市民病院事務局長 大道茂樹君。
〔市民病院事務局長(大道茂樹君)登壇〕
25 ◯市民病院事務局長(大道茂樹君) 藤田議員の市民病院の医療ミス防止対策についての御質問のうち、全国の病院での医療ミスの発生状況についてのお尋ねにお答えいたします。
全国の病院での医療事故の発生状況につきまして、富山県医務課に照会いたしましたが、そのような公式の統計はなく把握されていないのが現状であるとの回答を受けております。このため、全国に 1,100ある自治体病院が医療訴訟の損害賠償補てんのために加入しております株式会社自治体病院共済会に照会を行いました。
この共済会に医療事故として報告された件数は、平成7年度の 410件から平成8年度は 501件、平成9年度は 510件、平成10年度は 567件、平成11年度は 617件となっており、年々増加傾向にあります。この件数は、病院の有責、無責に関係なく、患者及び家族から申し出あった報告を取りまとめたものであり、後日事故と判定されなかったものも含んでおります。
平成11年度で見ますと、事故発生場所の件数はわからないわけですが、診療内容別件数では、「手術に起因するもの」で 217件、これは全体の35.2%でございます。「電気治療及びリハビリ等に関するもの」で84件、13.6%、「診断及び告知に関するもの」71件、11.5%、「検査に関するもの」70件、11.3%、「注射・輸血・点滴に関するもの」38件、6.2 %、「投薬等によるもの」25件、4.1 %となっており、これらで全体の82%を占めておるという状況でございます。
以上で私の答弁とさせていただきます。
26 ◯副議長(畠 起也君) 生活環境部長 佐野嘉朗君。
〔生活環境部長(佐野嘉朗君)登壇〕
27 ◯生活環境部長(佐野嘉朗君)
コミュニティバスの運行についての御質問にお答えをいたします。
まず、第1点目の本格運行に時期でございます。
本市では、公共交通の利用促進と中心市街地の活性化、福祉対策の一環としての役割を担う
コミュニティバスの運行につきまして、昨年9月に高岡市
コミュニティバス導入検討委員会を設置し、これまで導入計画の策定や試行運行について検討を重ねてまいりました。昨年11月から実施いたしました試行運行については、市民の皆様から一定の評価が得られましたことや、アンケート調査においても導入希望者が高い割合を占めていることなどから、新年度において本格的に導入することとしております。当初予算に所要額を計上いたしたところでございます。
本格導入の時期については、市長答弁でも申し上げたように、車両の購入等の諸準備に3カ月以上の期間が必要なことなどを考慮いたしますと、ことし秋ごろまでに導入できるのではないかと考えております。
第2点目は、
コミュニティバスの運行の採算性についてのお尋ねでございました。
コミュニティバスの運行のあり方につきましては、道路運送法上、1つには第4条で規定する路線バスの免許を持つ交通事業者に依頼する方法と、2つには同法の第80条の規定に基づきまして市が許可を受けて市営バスとして運行する方法がございます。
このうち、後者の市が許可を受けて運行をするとした場合には、市で直接車両を所有し、運賃は使用料に関する条例を制定して受け入れなければなりません。また、車両の所有によって、日々の点検や故障等の維持費、事務手続を伴うほか、万一の事故に起因する運送事業者としての責任が問われることにもなります。加えて、現実的には中心市街地を走ることから既存バス路線との競合の度合いによっては同法の許可が難しいことも十分考えられます。
このようなことを総合的に勘案いたしまして、新年度の本格導入に当たりましては、市内において道路運送法第4条の路線バス免許を持つ交通事業者である加越能鉄道に運行を依頼することが効率的であると考えて、そのような方法をとりたいと考えております。
車両の確保については、運行事業者の所有するバスを使用する方法と、市が購入して運行事業者に無償で貸与する方法が考えられます。仮に、市で購入するとした場合、バス会社が購入する場合よりも一般的に割高になることや、加えて故障や事故等による損傷時の対応、保険や点検等のメンテナンスに伴う事務的、技術的手続などを市で行う必要がありますので、財政面だけでなく組織的にも大きな負担となります。
このため、新年度からの本格運行に際しては、国・県からの補助を受けて、加越能鉄道が新たに購入するノンステップバスに市が残額を補助することといたしております。新たに購入してもらうバスにつきましては、
コミュニティバス固有の斬新なデザインにいたしまして、他のバス路線には使用しない高岡市の
コミュニティバス専用車とする方向が望ましいのではないかと、このように考えております。このような方式をとることによりまして、基本的には昨年実施いたしました試行運行と同様、
コミュニティバスの事業主体は高岡市、運行は加越能鉄道という形態での本格導入を予定いたしております。
お尋ねの所要経費でございますが、予算的には車両購入費として2台分で約 2,300万円、運行経費として6カ月分で 1,440万円を見込んでおります。これらについては、加越能鉄道と新年度予算承認後に綿密な詳細の詰めを行うことになります。
コミュニティバスの先進事例である
金沢市では、運行2年目の平成12年度において昨年12月までの利用者数は、その9カ月間で初年度の同期に比べて17%余りふえたというふうに伺っております。本市での本格運行に当たりましても、試行運行時の利用実績を上回るよう努め、運賃確保を図りまして所要経費の縮減に努力してまいりたいと考えております。
以上で、答弁とさせていただきます。
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28 ◯副議長(畠 起也君) 10番 向栄一朗君。
〔10番(向栄一朗君)登壇〕
29 ◯10番(向栄一朗君) 春は名のみの弥生3月、けさから横殴りの雪が降りしきる中、私は15歳の試練に立ち向かっている中学生諸君に声援を送り、君たちが生き抜く21世紀を明るいものとすべく、青少年にかかわる施策について通告に従い3項目、8点について質問いたします。
まず第1点目は、高岡市青少年問題協議会設置条例の廃止についてお伺いいたします。
20世紀末に連続して発生した17歳の凶悪事件は、まだ私の脳裏に鮮明に残り、漠として広がる凶悪事件の再発懸念に対し、日本社会は有効な対策を講じないまま21世紀の初頭の時間を浪費しているのではないかと自問しているところであります。
国の青少年問題審議会は、戦後をこえて「青少年の自立と大人社会の責任」と題する平成11年の答申の中で、青少年の非行等問題行動に関する現状認識として、刑法犯で警察に検挙された者の数は、平成4年の人口 1,000人当たり11.8を底に6年連続で増加傾向にあり、平成10年には16.9となったとしております。
また、総理府が平成10年4月に行った青少年の非行等問題行動に関する世論調査によれば、20歳以上の国民の94.3%が、13歳から19歳の国民の92.9%が青少年による非行等の重大事件がふえていると感じています。青少年の問題行動に関する新しい特徴として、非行歴のない普通の子供に凶悪、粗暴な重大問題行動が見られるとしています。
私自身の体験として、昨年末の一斉交通取り締まりによる大規模な一斉検問が実施されていた際、代行で帰宅途中、私が乗った車の横をヘルメットもつけない若者2人乗りのナンバーもなしのバイクが検問を突破していきました。高岡警察署において捜査が進められているものと思いますが、私たちの身の回りで社会規範を無視する青少年が現存する事実があると思わねばならないと考えます。
警察署においては、高岡市や周辺で発生した殺人事件や強盗、誘拐事件、日々発生する交通事故の対処に追われている社会情勢から、青少年の育成にかかわる行政機関は、事件とならない青少年問題行動に対処する行政執行や関連機関との連絡調整、調査審議の役割は増加することがあっても減ることは当分期待できないものと判断します。
このような状況の中、今次定例会に高岡市青少年問題協議会設置条例の廃止が上程され、私は教育委員会に対し説明を求めたところ、国の青少年問題審議会設置に関する条文が削除され、本年1月6日から実施されたこと、青少年育成高岡市民会議の機能と重複し二重構造となっていることなどを根拠に廃止するとのことでありました。
そこで、国においては、平成11年に条文を削除した際に青少年育成に関する基本的な法律の制定を検討する方針が示されていますが、いまだ制定を見ない状況下で条例廃止を急がれるのであれば、高岡市独自の地方分権時代にふさわしい指針を立てて深刻化が予測される青少年問題に対応すべきであると考えますが、佐藤高岡市長の見解をお伺いいたします。
あわせて、近年問題化しているストーカー行為、児童虐待等に対して、迷惑行為等被害防止対策会議、高岡市児童虐待防止協議会、子育て支援ネットワーク協議会、高岡市青少年問題機関連絡会など、民間組織も含めた機関が相次いで設立され青少年問題に対応されているところであります。
同様に、青少年育成高岡市民会議は、昭和40年に中央青少年問題協議会が青少年非行対策に関して意見具申したのを契機に、昭和47年に高岡市民みずからが行政施策に呼応して青少年健全育成の実践活動を推進しようとして設立された民間団体であります。民間団体に関係行政機関との連絡調整や調査審議提言などの活動を委嘱するのであれば、それに見合った予算面、人材支援が必要になると思われますが、青少年育成高岡市民会議に対し平成13年度予算案において具体的な予算措置が行われておるのか、佐藤市長にお伺いいたします。
佐藤高岡市長には冒頭にも申し上げましたように、青少年による凶悪事件が頻発する中、議員も構成メンバーである高岡市青少年問題協議会が廃止されることのみがひとり歩きしないよう、市民が納得する答弁をお願いし、次の質問に移ります。
2点目は、IT情報通信技術推進戦略の取り組みについてお伺いいたします。
平成12年12月定例会において、国のIT情報通信技術推進戦略により補正計上された講習会が市内11校の中学校会場を皮切りに開催されております。IT講習会に対する市民の関心は高く、296 名の定員に対し 2,019名が応募するという状況があると報告を受けています。これに対して平成13年度当初予算において 4,000人の市民が講習を受講できるよう予算計上されていることに対し一定の評価をするものであります。
国が、景気浮揚とIT情報通信技術の国民への普及推進を目指し、10割補助を行ってまで推進するIT戦略が、高岡市においても推進されなければならないと考えています。
そこで1点目として、12月に補正計上されたすべての施設のパソコン導入状況とすべての施設における活用計画について、企画調整部長にお伺いいたします。
この項2点目として、我が自民クラブの代表質問にもありましたが、IT情報通信技術推進戦略が高岡市において定着するためには、継続した講習と体系づけられた講習のレベルアップが必要になってきます。
そこでこの項2点目として、講習日程、講習依頼に関して基本的な考え方を企画調整部長にお伺いいたします。
この項の最後に、学校教育における情報通信環境の整備について教育長にお伺いいたします。
平成13年度予算において、小学校2人に1台、中学校 1.3人に1台の水準でパソコンが整備されることになり、平成14年度に文部科学省が1人に1台を目指す水準を達成できるめどが立ったものと一定の評価をするものでありますが、13年度当初のなるべく早い段階での予算執行を強く要望しておきます。
予算説明会では、市内26の学校にそれぞれ12台配置するために増加した予算は約 1,000万円、11校の中学校にそれぞれ10台配置するために要した費用は 600万円であるとのことでありました。魚津市や砺波市、この両市においてはケーブルネットをも利用し、学校間でのテレビ会議形式の授業を実施するなど、IT情報通信技術発展を享受した方向性を定めたバランスのよい取り組みが実現しています。
御存じのように、13年度予算には高岡ケーブルネットに1億 9,300万円のIT関連情報予算が補助されています。高岡市の取り組みをわかりやすく表現しますと、下水道が学校の横に建設されながらくみ取り式のトイレのまま水洗化した洋式トイレの改造をしているようなものだと言いたいのであります。ため池式のまま水洗化トイレを子供たちが使用したらどうなるでしょうか。心配するところであります。
さる12月定例会、校内LAN整備についての質問に対する教育長の答弁は、「いつどのようにして整備するか、研究、検討をしてまいりたい」とのもので、高岡市の情報環境整備のおくれを象徴しているものであります。これにいても立ってもいられなくなったPTAや先生の中には、自前の経費で校内LANを構築されているところを私は複数知っております。そこで引き続き、校内LANの整備や通信速度のアップに取り組む必要がありますので、情報通信環境整備の推進に当たり、国が進めるIT情報通信技術推進戦略補助制度を積極的に活用し整備を進めるべきと思います。学校教育における情報通信環境整備の中期計画と、先ほど触れましたようなトイレを一度に使ったがためにあふれる状態、パソコンがフリーズして固まるなどのトラブルに対するメンテナンス体制の取り組み方針を含めて教育長にお伺いいたします。
3点目に、生涯学習センター建設と生涯学習施設の統廃合についてお伺いいたします。
私は、平成11年12月定例会総括質問において、教育長に、生涯学習センター建設に当たり、既存の生涯学習施設青年の家や勤労青少年ホームをスクラップ・アンド・ビルドの観点から統廃合すべきではないかと質問いたしました。教育長は答弁で「生涯学習センターで市民の学習ニーズすべてに答え得るものではなく、本市社会教育施設や市内外の関連施設との連携と施設整備の相互補完に努めて、活動しやすい学習環境をつくることが重要」と答えられたのであります。
私はさらに、生涯学習センターの完成を念頭に、少年教室の減少と勤労青少年ホームの活動状況から利用している若者の意見を集約し、センターの機能運営に反映させるべきであるとの質問に対し、教育長は「青年のニーズをできるだけ取り入れて、最大限にセンターの中に生かしていく。かつまた青年の家の現状に改善を加え、学習活動、青年活動に邁進できるよう支援を含め活性化を図っていく」と答弁されています。
青年教室の数そのものの減少と講座受講生の減少傾向の中、高岡市内に青年の家、勤労青少年ホーム、新設される生涯学習センターと3カ所を維持していくのは困難ではないかと思います。現在活動している青年教室を見ると、音楽活動をしている「アンジュエ」や演劇の「碧鳥」は、防音設備の整ったところが必要なことから、新設生涯学習センターの音楽練習室やホールを利用することが多くなると推測されます。
平成12年9月に高岡市生涯学習施設整備検討委員会からの報告書によれば、社会教育関係の機能が網羅されていることから、機能が重複する青年教育に関する講習や青年教室は、新築される生涯学習センターに統合し行政効率を上げるべきと考えます。生涯学習センターの機能と重複する社会教育施設はどのようなものがあるのか、教育長にお伺いいたします。
次に、前回の質問から2年を経過し、民間企業では長引く不況に対応し、生産設備の廃棄を含め効率的な経営を目指し、組織の再構築に懸命に取り組んでおられるところであります。このような社会情勢を背景に、地方公共団体においても社会教育施設の再構築が求められているところであります。社会教育施設で時代の変化に伴い狭隘となった施設や、建物の耐用年数から改築時期にある社会教育施設をお示しください。
教育長の現在の社会情勢を踏まえた見解を期待するところであります。
この質問の最後に当たり、佐藤市長にお伺いいたします。
青年の家に設置されている能舞台の利用状況は、高岡市が能をはじめとした古典芸能の盛んな土地柄であることを反映し、青年の家古典芸能関係団体の利用状況が平成11年度には1万 133人と青年、一般に分けた利用形態の中では最も多くなっております。教育委員会におかれても、第8次事業計画において、空調機能強化、外壁補修、エレベーターの設置費用として 5,300万円、事業期間は平成14年から17年と計画されております。
平成13年度予算案では、この計画を1年前倒しして3階能舞台のあるホール空調機能強化に 920万円が計上されていることから、青年の家の設備については今後も利活用していくとの意思を感じ、そのことについては私も支持するものであります。
しかし、勤労青少年ホーム、高岡市文化センターについては、昭和41年、42年竣工の老朽化した建物であり、教育長さんへの質問でも申し上げましたように、時代の変化に伴い狭隘となり、建物の耐用年数からも改築時期にあると思います。今後、建物の維持管理については、利用団体及び地元の意向をくみ上げ対処することを要望するとともに、生涯学習センターの建設費が予算計上されるに当たり、既存社会教育施設の統廃合について、行政のスリム化と行政機構改革の側面からどのように取り組まれようとしているのか、佐藤高岡市長の見解をお伺いし、私の質問を終わります。
以上であります。
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答 弁
30 ◯副議長(畠 起也君) 当局の答弁を求めます。市長 佐藤孝志君。
〔市長(佐藤孝志君)登壇〕
31 ◯市長(佐藤孝志君) 向議員の私に対する御質問にお答え申し上げます。
高岡市青少年問題協議会設置条例の廃止に関しまして、まず、青少年による凶悪事件が多発する社会状況の中、条例にかわる指針に対する市長の見解はどうかということでございます。
高岡市青少年問題協議会は、終戦直後の混乱した社会状況を起因とする少年非行に対する施策の向かうべき方向性を示すことを目的に、昭和28年に制定された青少年問題審議会及び地方青少年問題協議会設置法を根拠法とする高岡市青少年問題協議会設置条例により市の附属機関として設置されておりまして、行政執行に必要な調査審議、連絡調整及び意見具申を行うことを目的とするものでございます。
議員御指摘のように、近年、17歳の犯罪に象徴される大きな少年犯罪が次々に起こるなど、青少年に関する問題は常に新しい形で、さらに多様化、専門化していく状況にございまして、本市におきましては、これら青少年問題に対し地域の実態や今日的な社会背景の変化に対応できるよう、非行対策のみではなく、環境浄化をはじめ児童に対する迷惑行為や虐待防止、あるいは子育て支援や悩み事に対する青少年相談などにつきまして、関係機関、団体や専門的知識を有する方々による協議会、対策会議などを設置し、それぞれに実効性のある施策となるよう取り組んでいるところでございます。
国におきましても、今後、国民、青少年と行政の対話による新たな仕組みづくりによる青少年施策を中央省庁改革により内閣府において推進することとされておりまして、さきの根拠法から国の青少年問題審議会に関する条文が削除され、同審議会は廃止されたのでございます。
もともと地方青少年問題協議会の設置につきましては、地方公共団体の自主性にゆだねられているところでございまして、私としては、地方分権の流れの中で本市青少年の実態や社会背景の変化に対応して、それぞれの協議会、対策会議などの充実を図りながら、青少年問題協議会の持っていた機能を青少年育成高岡市民会議に一元化し、かつ同会議の構成、機能を充実することにより、青少年育成をより一層実践的な事業として推進していきたいと考えております。
また、市として推進する青少年健全育成の基本的な方向性は、高岡市総合計画の新たな基本構想にあるように、家庭の教育力の充実、地域の教育力の充実、青少年団体の育成と活動の活性化の3つの施策の体系に掲げたところでございまして、これらに基づく新たな事業計画のそれぞれの施策を着実に実行してまいりたいと思っております。
次に、協議会にかわり役割を担う市民団体青少年育成高岡市民会議に対する支援はどうかということについてでございます。
青少年育成高岡市民会議は、青少年問題の重要性にかんがみ、市民がみずから国・県・市の施策及び国民会議、県民会議と呼応して、青少年の健全育成のための実践活動を推進している市民団体であります。この市民会議は、市連合自治会をはじめ30団体と青少年育成推進指導員26名で構成され、青少年育成が市民全体の運動となるよう事業の企画や実践活動に取り組んでおられ、事務局は教育委員会生涯学習課に置かれているものでございます。
平成13年度は、青少年問題協議会の機能を市民会議に一元化するため、青少年育成市民会議の活動内容に青少年の健全育成のために必要な調査審議と提言を行うことや、関係行政機関との連絡調整に関する活動を盛り込み、また高岡市及び高岡市教育委員会がその構成団体に加わり、ともに青少年健全育成の充実推進を図っていきたいと考えております。
また、具体的な支援としては、事務局員である生涯学習課職員が市民会議のための各種事務を従来同様行うことはもとよりでございますけれども、2002年の学校完全週5日制に対応し、地域で子供たちをはぐくむ環境づくりのため開催する「地域の教育力充実フォーラム」の実施委託や、校下(地区)ごとで実施される青少年育成推進指導員活動事業への補助及び運営補助として約70万円を予算計上しております。このほか、市の施策等に関する資料、情報をこの市民会議に提出し、それらをもとにして検討し出された意見、提言を、本市の青少年の育成に関する今後の施策事業に十分反映していきたいと考えております。
多少ちょっと感想めいたことを申し上げますけれども、従来、この青少年問題協議会というのと、それから青少年育成高岡市民会議のこの2つがございまして、この事務局はそれぞれ教育委員会の生涯学習課に置かれております。年最低1回はそれぞれこの会議は開かれているわけでございますけれども、ともすれば青少年問題協議会、発足当初はかなりの会議があったかもしれませんけれども、私の市長就任後13年間はなかなか青少年問題協議会の開催がなくて、むしろ年一回もないんじゃ困るじゃないかと、ちゃんとやってほしいということを時々の教育長あるいは生涯学習課長に指示をいたしております。そのようにして開催されているというのが実態ではないかと思います。
そしてまた、実際問題、この青少年問題協議会と青少年育成高岡市民会議がそれぞれこれまでは目的が違っておったわけでございますが、えてしてほぼ同じような時期にございまして、出席される方がいろんな市民あるいは各種団体の長などでございまして、後で聞きますと、「どうして市長、同じような会議を同じような時期に2度もやって、そんなことやるのか」ということで御質問、おしかりなどを受けたこともままございます。
そう言われてみれば、構成メンバーもよく似ておりますし、青少年の健全育成という最終目的は同じでありますけれども、それがこの2つがあって、2つがあるがゆえにまたいろんな混乱を来している。また、当初のその目的が十分果たされていないとすれば、この際両者を一体化して、そして単に一体化するだけじゃなくて、従来以上に活動が活発になるようにしていくということ、そんなことができないかなということをかねがね教育委員会の方にも申し上げておりまして、教育長以下の方で御検討いただき、今度青少年問題協議会は廃止するけれども、片やで青少年育成市民会議を充実していくと。ここにもちろん市なり教育委員会の者も入り、いろんな方々が入って、そして単に連絡調整するだけではなくていろいろと調査審議とか、それに基づくところの提言、意見の提出もできるようにしていくというようなことで、この機会によりこの青少年問題について充実をしていこうということでこの案を出させていただいておるわけでございます。
以上でございますので、ひとつその趣旨を御理解賜りたいと思う次第でございます。
次に、生涯学習センターの建設に際して行政のスリム化と行政機構改革の側面から、既存の社会教育施設の統廃合を行ってはどうかとの御質問にお答え申し上げます。
高岡市の各種公共施設につきましては、その管理運営に当たってのサービス性、機能性、経済性の向上を図る観点から、これまで万葉歴史館、美術館、市民会館、博物館、児童文化センター、青年の家等の管理運営を高岡市民文化振興事業団に委託したほか、地区公民館職員の嘱託・パート化を進めてまいっております。